家電や自動車などあらゆるものがネットにつながる「IoT」時代。生活が便利になる一方で、IoT機器を狙ったウイルスの発生など、新たなセキュリティー問題が出てきた。車がハッカーに乗っ取られれば、人の命が危険にさらされる可能性もある。深刻な被害が出る前に対策の強化が急務となっている。
◆身代金ウイルス
「注意!お使いのデバイスがロックされている」。ネットに接続されたスマートテレビの画面に不気味な表示が現れ、操作ができなくなった-。原因は、機器を動かなくした上で、復旧のための金銭を脅し取ろうとする「ランサム(身代金)ウエア」というウイルスだった。
情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」は昨年6月、スマートテレビへのランサムウエア感染例を国内で確認した。感染した場合、自分で直すのは困難で「まずメーカーに連絡を」としている。
トレンドマイクロの森本純シニアスペシャリストは、赤ちゃんを見守るネットワークカメラなど身近なIoT機器が乗っ取られ、個人情報が流出するリスクもあると指摘。「恐喝の材料になるかもしれない。IoTが攻撃されると、物理的・人的な被害に結びつきやすい」
ウイルス感染した監視カメラなど多数のIoT機器が大規模サイバー攻撃の「踏み台」となっていることも判明している。ハッカーに乗っ取られたIoT機器が企業などのサイトに大量のデータを送り付け、サービスをまひさせている。