原発巨額損失、確定に時間 東芝会長「申し訳ない」

  • 米原発事業で1000億円の損失計上を検討している東芝=東京都港区

 東芝の志賀重範会長は5日、東京都内で報道陣の取材に応じ、数千億円の損失が発生する恐れがあると公表した米原発事業について「(損害額の)数字はまだ動いている。今は申し上げられない」と述べ、確定には2月中旬に予定する平成28年4~12月期決算発表の直前まで時間がかかるとの見通しを示した。

 志賀会長は「ご心配をかけ申し訳ない」と陳謝した上で、巨額損失の原因について「当初思っていたよりも(原発の)完工までの費用はもっとみないといけない」と説明した。経営再建に向け大規模なリストラを実施した東芝は財務基盤が痛んでおり、必要ならば資本増強も行う構えだ。

 米原発について志賀会長は、米中枢同時テロや東電福島第1原発事故の影響で「規制が厳しくなり、工事が遅れた。生産性が上がらない状況だ」と指摘し、安全対策で費用の増加や工期が延びて損失につながったことを示唆した。