柏崎再稼働は現状で認めず 米山隆一新潟県知事、東電首脳に原発事故「検証に数年」 

東京電力ホールディングスの数土文夫会長(左から2人目)に意見を伝える米山隆一知事(右)。左から2人目は広瀬直己社長=5日、県庁
東京電力ホールディングスの数土文夫会長(左から2人目)に意見を伝える米山隆一知事(右)。左から2人目は広瀬直己社長=5日、県庁【拡大】

 東京電力ホールディングスの数土文夫会長と広瀬直己社長は5日、昨年10月に就任した新潟県の米山隆一知事と同県庁で初めて会談した。東電側は福島第1原発事故の原因など3つの検証に協力していく方針を伝え、柏崎刈羽原発(同県)の再稼働への理解を求めたが、米山知事は「3つの検証がされないと再稼働はできない。検証には数年かかると考えている」と述べ、慎重な姿勢を示した。

 米山知事は会談後、記者団に対し、検証に必要な期間について「3、4年」とも説明しており、再稼働に向けた地元同意をめぐる調整が長期化するのは不可避の情勢となった。

 会談で数土会長は「(原発事業者にとって)最大のステークホルダーは地元の方々だ」と強調。米山知事が重視する福島事故の原因▽健康への影響▽柏崎刈羽の重大事故に備えた避難計画-の3つの検証にも積極的に対応する姿勢をみせた。広瀬社長も「(福島事故の教訓を)柏崎刈羽に展開していくことで二度とあのような事故を起こさない体制を作っていく」と力を込めた。

 だが、米山知事はこれまでの慎重姿勢を堅持。一方で「われわれの間には一致できる部分もある」として東電側と情報共有を強化して問題解決に当たっていく方針を確認した。

 初会談は当初、昨年11月下旬の予定だったが、福島県沖での地震や新潟県内で発生した高病原性鳥インフルエンザへの対応で2回延期されていた。