三重県を地盤とする三重銀行と第三銀行が経営統合に向けた交渉に入ったことが5日、分かった。2016年度内にも合意し、17年度中の統合を目指す。総資産は合算で4兆円程度となり、規模拡大と経営合理化で生き残りを図る。
人口減少が進む中、日銀の金融緩和によって低金利が長期化し、経営環境は厳しさを増している。金融庁は地域活性化に向け、顧客の利益を最優先した業務運営や持続可能なビジネスモデルへの転換を促しており、資本の余力に乏しい地方銀行を中心に再編の動きが加速する可能性もある。
三重銀行の種橋潤治会長は5日、三重県四日市市内で記者団に対し「さまざまな案を検討する中で、第三銀行との統合も一つの案だ」と述べた。第三銀は「さまざまな検討を行っているが、決定した事実はない」とのコメントを発表した。
持ち株会社を設立して両行が傘下に入る形式のほか、合併も選択肢として検討しているもようだ。両行の総資産は16年9月末時点の単純合算で3兆9663億円となり、県内最大手の百五銀行の5兆3822億円に対抗する規模となる。
三重銀は工業地帯を抱える県北部を営業基盤とし、第三銀は観光や農林水産業が盛んな伊勢志摩や県の南部に強い。重複する営業エリアや業務体制の見直しなどで、経営合理化を進めるとみられる。ただ「単純に統合するだけでは地域の成長につながらない」(金融庁幹部)との指摘もあり、具体的な統合効果を示せるかが課題となりそうだ。
地銀再編の動きとしては、16年10月に常陽銀行と足利ホールディングスが統合し「めぶきフィナンシャルグループ」が発足。同年4月には横浜銀行と東日本銀行が統合し「コンコルディア・フィナンシャルグループ」が誕生した。