三菱ケミカルホールディングスが、ドイツの素材メーカー大手のSGLグループが米国に持つ炭素繊維の工場を買収することが10日、分かった。自動車や風力発電機向けの需要拡大に対応するのが狙いで、4月までに買収を完了する。
買収するのはSGLのワイオミング州にある工場。生産設備や約50人の従業員を引き継ぎ、年間千トンの生産能力を獲得する。傘下の三菱レイヨンの米子会社を通じて買収し、金額は数十億円規模になる見通し。
軽くて丈夫な炭素繊維の需要は、風力発電の風車や自動車部品向けを中心に増えており、三菱ケミカルは生産能力の増強を打ち出している。今回の買収とは別に現在、日本と米国の製造拠点を合わせると年間1万100トンの生産能力を、2017年中に年間1万3300トンに拡大する方針だ。