三菱電機の情報技術総合研究所(神奈川県鎌倉市)の研究職の男性(31)に違法な長時間労働をさせた疑いで、厚生労働省神奈川労働局が11日、労働基準法違反容疑で、法人としての同社と当時の上司を書類送検した。男性は長時間労働が原因で精神疾患になり、藤沢労働基準監督署(同県藤沢市)が昨年11月、労災認定していた。
捜査関係者によると、同社は平成26年、労使協定で定められた残業を超えて男性に長時間労働をさせた疑い。男性が実態の労働時間と合わない勤務時間を過少申告させた疑いも持たれている。
男性は大学院博士課程を修了して25年4月に三菱電機に入社。情報技術総合研究所で、家電などに用いるレーザー技術の研究に携わっていた。
26年1月以降、研修論文作成業務で著しく業務量が増加し、同年2月には、「過労死ライン」とされる月80時間の2倍に当たる月160時間の残業をし、同年4月に適応障害を発症。昨年6月には在籍期限を過ぎたとして解雇された。
男性によると、直属の上司が「残業は40時間未満までつけろ」「不自然にならないようにしろ」などと過少申告を指示されていたという。
藤沢労基署は、発症の3カ月前から月100時間を超える残業があったと認定して、「強い心理的負担がかかっていた」と認定している。