武田薬品工業は、がんの治療薬を開発・販売している米アリアド・ファーマシューティカルズを約6200億円で買収することで、M&A(企業の合併・買収)戦略を強化する。その一方、昨年12月に検査薬子会社の和光純薬工業の売却を決めるなど「選択と集中」を加速する。
アリアドが開発中の非小細胞肺がん治療薬は、ピーク時の売り上げが1千億円を超えるとみられる。アリアドと武田のノウハウを持ち寄れば、重点領域と位置づけるがん関連の開発力や品ぞろえを強化でき、開発コストも削減できるとみている。
武田は大型のM&Aを駆使しながら新薬開発に経営資源を集中してきた。平成20年と23年に米国とスイスの製薬会社をそれぞれ1兆円規模で買収。一方、非中核事業については積極的に切り離してきた。
ただ、売上高で国内首位の武田も世界ではトップ10にも入れない。各国が医療費削減の一環で安価なジェネリック(後発薬)を普及させる中、開発投資の回収は難しさを増す。武田は今後もM&Aの機会をうかがうことになりそうだ。