【奈良発 輝く】井上天極堂 伝統の「吉野本葛」守り、魅力を発信 (1/5ページ)

2017.1.12 05:00

受け継がれた伝統の製法で作られている吉野本葛=奈良県御所市
受け継がれた伝統の製法で作られている吉野本葛=奈良県御所市【拡大】

  • 井ノ上昇吾社長
  • 吉野本葛の可能性を広げた「くずの子パウンド」。小麦アレルギーの人も食べられる

 奈良県御所市戸毛にある「吉野本葛(くず)」の老舗「井上天極(てんぎょく)堂」の本社工場。長さ約4.7メートル、幅約2.8メートル、深さ約80センチもある撹拌槽(かくはんそう)の中では、真っ白な液体が勢いよく撹拌され、波立っていた。

 葛の根をつぶして水で揉(も)み洗いして取り出した、精製がまだ完全でない葛のデンプン「粗葛(そくず)」をきれいな水の中で撹拌、沈殿させ、アクと不純物を取り除く作業を行っているのだ。この作業を何度も繰り返し、約2週間かけて精製、吉野本葛を作るのが、代々受け継がれてきた「吉野晒(ざらし)」の製法だ。

 精製が終わった葛のデンプン「葛粉」は、さらに細かいごみなどを除去、殺菌し、仕上げるための「舟」とも呼ばれる沈殿槽に移される。

 沈殿槽の底に固まった葛粉は真っ白でなめらかだが、まだ水分が多い。このため表面に布を敷き、上に乾燥させたイモのデンプンを敷き詰めて葛粉の水分を吸わせ、カットしやすい40%ほどの水分量にする。「葛の匠(たくみ)」と呼ばれる葛職人が、沈殿槽から葛粉の塊を切り出し、もう一人の匠が包丁で表面についた細かなごみやアク部分を削り取る「しり切り」をして成形する。

 「葛の匠」で、製造部係長でもある巽信吾さん(31)は「葛粉は、水分を吸わせ過ぎるとひびが入りばらばらになるので、手で触った感触で一番良い水分になるようにしている。しり切りでは削りすぎないよう、均等な大きさになるように削る」と話す。

 葛粉はその後1、2週間かけてじっくり乾燥させて、やっと吉野本葛が出来上がる。

 ◆「白いダイヤモンド」

 吉野本葛と呼ばれるのは葛の根のデンプンだけを原材料にしたもの。葛の根のデンプンにイモのデンプンを混合した「吉野葛」とは違う。1キロの葛の根からできあがる吉野本葛は100グラムほどで、希少性から「白いダイヤモンド」とも呼ばれる。

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