葛の根は昔から生薬の原料に使われ、葛の根に含まれているイソフラボンの一種の成分は、血中コレステロールの低下や筋肉の緊張の緩和などに役立つと言われているという。
日本の伝統的な食材で、体にも良いという吉野本葛。だが、葛きりや葛もちなどの和菓子の材料、料理にとろみをつける食材という程度しか用途が知られていなかったことも事実だ。
◆ソムリエが出前授業
そんな吉野本葛をより多くの人に知ってもらおうと、2012年に「葛ソムリエ協会」を設立。資格試験に合格した葛ソムリエはこれまでに約60人おり、奈良県内の小中学校に行き、吉野本葛の歴史や製法などを説明。実際に児童、生徒が吉野本葛で葛餅や葛まんじゅうを作って食べる出前授業も行っている。
自身も葛ソムリエである経営企画室主任の岡本富美子さん(44)は「葛粉はジャガイモのデンプンと比べて粒子が細かく、口当たりがなめらかで優しい。料理にとろみを付ける食材として、高級料理店などで支持されていることや、昔から体に良いと知られていたから、今も使い続けられているということを説明している」とし、「子供たちには説明だけでなく、吉野本葛で葛餅などを作って食べてもらうことで、食感や味を覚えてもらい、吉野本葛に興味を持ってもらいたい」と話す。
葛商品の販売のほか、吉野本葛を使った料理を提供する店舗も奈良県内で6店展開。伝統食材の葛の魅力を発信し続けている。(山本岳夫)