トヨタ自動車は18日、水素で走る燃料電池車の普及を目指す新団体をホンダ、独ダイムラーなど世界の自動車メーカーや、欧州エネルギー大手などと共同で設立したと発表した。電気自動車(EV)に比べ普及が遅れており、各分野の知見を融合して導入拡大につなげる狙い。トヨタは環境対応車や自動運転での規格標準化に向け他社との連携を加速する「仲間作り」戦略を進めており、今回の取り組みもその一環となる。
新団体は「水素協議会」で、自動車メーカーでは他に独BMW、韓国の現代自動車が参加。英蘭ロイヤル・ダッチ・シェル、川崎重工業なども加わり、合計13社で発足した。トヨタと仏エア・リキードが共同議長を務める。協議会に参加した13社は、合計で年間1700億円超を燃料電池関連に投資しており、業界の枠組みを超えた連携で技術規格の標準化や水素供給施設の拡大に取り組む。
スイスで開かれている世界経済フォーラムの年次総会(ダボス会議)で発足を発表したトヨタの内山田竹志会長は「低炭素社会に向け、運輸だけでなく産業界全体の水素移行を水素協議会で支えたい」と述べた。
トヨタが燃料電池分野で同業のライバルや各種関連企業と手を組むのは、普及には「競争と協調」が欠かせないからだ。燃料電池車の開発に力を入れる同業とは水素充填(じゅうてん)1回当たりの走行距離など技術で競い合いながら、規格の標準化では足並みをそろえる。インフラ整備では、一企業の対応には限界があり、各国政府だけでなくエネルギー関連企業の協力もあおぐ。