■事業分野の垣根を越えた連携目指す
--昨年を振り返って
「事業と関係の深い為替、原油価格、中国経済の動向は常に注視していた。為替は一時、円高ドル安が進んだが、年末に向けてむしろ恵まれた環境になった。原油価格も落ち着いていた。中国経済も思ったほど減速していない。実際、11月に現地を訪れたときも悪くない印象だった」
--くい打ちデータ偽装問題による前社長の引責辞任を受けて昨年4月、社長に就任した
「経営を再び(通常)軌道に乗せていくことが何より重要な1年だった。就任と同時に新中期経営計画を打ち出したので、トップとしてしっかりやっていくことも大事だった。社長に就任して改めて感じたのは、企業は収益だけを追いかけるのではなく、社会の中でどう存続していくかが大事だということだ。(環境、社会、企業統治の)ESGを突き詰め、現場、現物、現実の三現主義を追求していく」
--組織の融合に取り組んでいる
「コネクト経営と呼んでいる。4月に化学など3事業を統合して事業持ち株会社へ移行した。従来は縦割り志向が強かったが、最近は横断的な連携の意識が出てきた。ヘルスケア向けの素材開発が進むなど、事業分野の垣根を越えた連携の動きが出てきている」
--業績は堅調だ
「化学事業では、4月に岡山県の水島コンビナートで三菱化学とエチレン製造設備を統合するなど、粛々と構造改善を実行できている。それ以外では、2015年8月に米ポリポアを買収したリチウムイオン電池材料のセパレーター事業も、順調に拡大できた。これで18年後半に予想される電気自動車(EV)拡大の波に乗れる」