ジーンケア研究所、抗がん剤の実用化目指す 老いの仕組みヒント (1/2ページ)

開発中のヘリカーゼを取り除く核酸試薬「RECQL1ーsiRNA」
開発中のヘリカーゼを取り除く核酸試薬「RECQL1ーsiRNA」【拡大】

 通常よりも5~10倍速く老化する「早老症」。なかでも日本人に多い「ウエルナー症候群」はがんを発症させる。この発症メカニズムを創薬のヒントとして、RNA(リボ核酸)を構成する核酸を使った「核酸医薬」という技術で画期的な抗がん剤の開発に取り組むのが、ジーンケア研究所だ。

 同社は官民共同プロジェクトで、ヒトの老化に関する遺伝子を研究していたエイジーン研究所の成果をもとに立ち上げたバイオベンチャーだ。

 ウエルナー症候群の研究から「DNAヘリカーゼ」という酵素が遺伝子の傷の修復に深く関わり、さらにヘリカーゼはがん細胞では通常の20~100倍あることが突き止められた。そこでジーンケアは「がん細胞からヘリカーゼを取り除けば、がん細胞の活動を抑えられる可能性がある」(高橋直也社長)と考え、ヘリカーゼを取り除く核酸「RECQL1-siRNA」の基本特許を2003年5月に出願した。

 ところが開発はいきなり大きな壁に当たる。核酸は体内に投与するとすぐに分解してしまう課題を抱え、世界に承認されているのは5品目しかない。ただ、この課題は患部に薬を確実に届ける「ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)」という技術が確立されつつある。

 ジーンケアは早期実用化のために複数の製薬会社との共同研究に取り組んだが、2014年9月までにすべて破棄された。資金調達に行き詰まり、会社は存亡の危機に立たされた。

 そこで当時、ジーンケアの社長だった六川玖治取締役は、経営コンサルティングなどを手掛ける会社に支援を要請。この会社が15年1月から当面の運転資金を拠出、新たな経営陣も派遣し、本格支援に乗り出した。ジーンケアは資金確保のめどをつけ、同年7月に新たな特許出願にこぎ着けた。