富士通は31日、インターネット接続事業の子会社「ニフティ」の個人向け事業を4月に家電量販店のノジマに250億円で売却すると発表した。スマートフォンの普及などで契約数が減少し低迷する個人向け事業を切り離し、企業向けのシステム開発などに経営資源を集中させる。
ニフティの企業向け事業は、4月に設立する富士通子会社の富士通クラウドテクノロジーズが継承する。個人向け、企業向けとも「ニフティ」ブランドは維持する。
同日、会見した塚野英博取締役CFO(最高財務責任者)は「ノジマの営業力を使い、ニフティのサービスを広げられる。富士通本体とニフティのビジネスは一定のつながりがあり、今後強化することもできる」と述べ、ノジマへの売却メリットを強調した。
一方、同日発表した富士通の2016年4~12月期連結決算は売上高が前年同期比6.1%減の3兆2005億円、本業のもうけを示す営業利益が約39倍の632億円、最終損益は322億円の黒字(前年同期は106億円の赤字)だった。
中国のレノボ・グループと統合交渉を進めているパソコン事業について、塚野CFOは「どうやれば事業を強く、大きくできるかを子細に議論している」とし、今年度内の最終合意に意欲を示した。
また、英国の欧州連合(EU)離脱による欧州事業への影響については「ないと考えている。企業のICT(情報通信技術)への投資意欲は旺盛だ」と述べた。
17年3月期の連結業績は、売上高4兆5000億円、営業利益1200億円、最終利益850億円を見込む。