アメリカの雄大な自然をドローンで空撮できたらどんな気持ちだろう。漠然と抱いていたそんな希望が、観光促進の非営利団体、「ミシシッピ・リバー・カントリーUSA日本事務所」(東京都港区)の協力で、かなえられることになった。このチャンスを受けて、ドローンタイムズが派遣するカメラマンとして白羽の矢を立てたのが、報道カメラマン歴15年のベテラン、納冨康カメラマンだ。撮影の経験は豊富。ただしドローンは全くの初心者。渡米前に機体のセッティング、操縦の基礎、ルールなどについて、専門家の手ほどきを受け、米国での空撮に必要な米連邦航空局(FAA)の許可申請も独力で行った。できる限りの準備をしたうえで、渡米した。以下はその体験記だ。
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「もう少しゆっくりでいいですよ」
声の主は、ドローン最大手DJI(中国)の日本法人、DJI JAPANのトップパイロット・中村佳春さんだ。やさしく丁寧な声が、混乱しているアタマには鋭く響くのが悲しい。(納冨康)
◆機体は安定、アタマは混乱
「ドローンでアメリカの雄大な風景を撮ってこい」
上司のむちゃぶりからすべてが始まった。スポーツや報道取材には多く携わってきたが、ドローンを扱ったことはない。恥ずかしながらド素人だ。