「海外進出サポートにも力を入れる。一昔前なら現地法人を設立して進出先の商習慣に倣うことが必要だったが、パソコンが1台あれば世界中のフェイスブックの利用者の中から取引相手の候補者を見つけ、直接コミュニケーションを交わせる時代になったからだ。例えば世界中のスポーツ好きな人を1億人抜き出してきて、直接的に動画で自社製品を売り込んで、交渉も可能だ。グローバルビジネスのハードルは圧倒的に下がっているのに、そういうことを知らない人がほとんど。情報発信を積極的に行うことで海外進出の活性化につなげていきたい。『起業女子』というプログラムのサポートにも力を入れる。女性1人で起業してもインスタグラムの活用で、ファッション関連などの新しいビジネスが誕生する可能性があるからだ」
(8)訪日外国人観光客をさらに増やしていくことが国家的な課題だが、フェイスブックはどういった形でサポートするのか
「世界中の利用者の中から日本に興味がある人をターゲットに、動画や写真を通じて日本のよさを訴求していく。また、外国人観光客の方は日本でフェイスブックを利用し、実際に来日したかどうかまで分かるので、グローバルベースでの情報発信を効率的に進めていきたい。モデルとなるのはマーケティング予算の大半がデジタルに充てられている、ニュージーランド。四季の美しさを世界に発信し、しっかりと外国人観光客を増やし経済効果につながっていることを証明している。日本でもやっていけるはずだ」(聞き手・経済本部 伊藤俊祐)
■長谷川晋氏(はせがわ・しん) 京大経卒。プロクター・アンド・ギャンブルを経て2012年楽天入社。上級執行役員を経て15年10月から現職。兵庫県出身。39歳。
■フェイスブック 米カリフォルニア州に本社を置く、世界最大の交流サイト運営会社。マーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が2004年2月に創業した。フェイスブックに加え、リアルタイムでメッセージの交換ができるワッツアップメッセンジャー、フェイスブックメッセンジャー、写真に特化したSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のインスタグラムという4つのサービスを提供している。2016年10~12月期決算は、売上高が前年同期比51%増の88億900万ドル、最終利益が2.3倍の35億6800万ドル。動画を含むモバイル広告が好調を持続しており、売上高と最終利益とも四半期で過去最高を更新した。