牧場で絞った生乳の95%以上が地域ごとの指定生乳生産者団体(指定団体)が集荷し、品質検査後に乳業メーカーに出荷される。生乳は毎日生産され、腐敗しやすく、貯蔵できない。全国に10ある指定団体が流通の要となっている。
指定団体は、1966年4月に都道府県ごとに設置。2001年から順次統合し、広域化。毎年、乳業メーカーと乳価を交渉するが、役割はそれだけではない。
関東地区を担当している関東生乳販売農業協同組合連合会(東京都文京区)が08年に稼働を開始した茨城県央クーラーステーション(CS、茨城県笠間市)の谷田部伸一所長は、「毎日241軒の牧場から約340トンの生乳を集荷し、検査後に乳業メーカーに出荷する」と話す。
CSは、牧場から集荷した生乳を検査し、乳業メーカーに出荷する中継基地。谷田部所長は「牧場ごとのサンプルを採取し、CSで保管。どの牧場の生乳が、どの乳業メーカーに出荷されたか常に追跡できる。メーカー検査で問題が起きてもすぐ対応できる」と話す。
病気になった乳牛の治療で与えた抗生物質などが生乳に残留していないかもチェックする。生乳をまとめて輸送することで輸送コストを削減したり、日々変動する生乳の生産量や需要量を調整する需給調整機能に加えて、指定団体は消費者の安全・安心の砦(とりで)でもあるわけだ。
乳牛140頭を飼育する高瀬牧場(栃木県那須烏山市)を経営する高瀬賢治さんは「指定団体の検査は厳しいが、それが消費者の安全・安心につながる。今後も国産の新鮮さをアピールしていく」と強調する。