顧客離れ歯止めへ 日本国債比率下げる
「30歳から月額1万円を30年間払い込めば、60歳からの10年での受取額は424万6000円。タンス預金よりも64万6000円のプラスです」
住友生命保険が2014年1月から発売する業界トップの利回りを誇る月払いの年金保険「たのしみワンダフル」を販売する際、営業職員はこう説明する。
だが、日銀のマイナス金利導入で長期金利の指標である新発10年債の利回りが一時、マイナス圏にまで落ち込んだ(16日は0.090%)こともあり、日本国債のみの運用では利回りを保証できなくなった。住友生命の月払いの年金保険の販売は好調だが、低金利がこのまま続けば利回り維持に限界がくるのは避けられない。
南欧国債運用を再開
現在の生保業界は、低金利を運用力でいかにカバーできるかが商品力の差として如実に表れる。生保各社は、運用先を外債や成長分野投資に拡大した。
生保大手4社の利回りを約束する商品(一般勘定)における日本国債の残高をみると、13年度末の38.0%から16年度上期は36.2%まで下がった。住友生命でも、10年の欧州金融危機以降、とりやめていたイタリア国債、スペイン国債での運用を再開、昨年4月からはポーランド国債での運用を初めて実施し、利回りの維持に懸命だ。住友生命の松本巌運用企画部長は「10年ぶりの中途採用を再開し、米国の買収先にも人材を送り込んだ。運用のレベルアップが課題」と気を引き締める。