愛知県一宮市の精密機械部品メーカー、オオヤギ製作所が金属の削り出し技術と遊び心を生かし、ステンレス製高級ボールペンを開発した。竹の節を模した独特のデザインで、海外からの観光客らに好評だ。大八木啓行社長(52)は「産業部品メーカーでも、発想次第で一般向けの製品も作れる。ものづくり力を示したい」と話す。
従業員20人の町工場だが、他社が避けるような極度の精密さを要求される仕事も積極的に受注。大八木社長は「技術力には自信がある」と力を込める。だが一般向け製品は作っておらず、仕事内容を周囲に説明しにくいというもどかしさがあった。
食品メーカー向けにステンレス製の抗菌ボールペンを製造したことがあったと思い出し、ボールペンを作ることに。こだわったのはデザイン。従業員には「楽しんで作って」と伝えた。その結果、同県稲沢市の尾張大国霊神社(国府宮)の「はだか祭」で奉納される竹をモチーフにした「KAGUYA」が誕生した。
2014年に名古屋市の展示会に出品すると反応は上々。昨年の商談会で中部国際空港会社の関連会社の担当者にサンプルを渡したところ、免税店を紹介してもらった。
KAGUYAの他、らせんや水玉の模様を施したペンもそろえ、免税店で昨年8月に販売を開始。1本最低9200円と安くはないが、月平均3~4本が売れている。免税店ネオ・ジャパン店長の洪賢進さん(46)は「購入者の8割が外国人で、母国へのお土産として買っていくようだ。地元企業を応援したい」と品数を増やす考えだ。