春闘で電機大手は各社横並びの要求を行う「統一闘争」が特徴だが、平成29年は経営再建中の東芝とシャープが昨年に続き離脱した。経営側は、英国の欧州連合(EU)離脱決定や米トランプ政権の誕生で世界経済の不透明感が広がるのを踏まえ、賃上げに慎重だ。電機連合の野中孝泰中央執行委員長に、今春闘での取り組みを聞いた。
--昨年同様、3千円のベースアップ(ベア)を要求した
「デフレ脱却のためには雇用、生活、将来への不安を払拭しなければならない。賃金が安定的に上昇することが必要だ。経営側には、従業員をコスト負担の要因としてではなく、付加価値を生み出す経営資源として考えてほしい」
--業績にばらつきもある中で、統一闘争にこだわる理由は
「統一闘争は55年の歴史があり、その中で労使間の信頼関係が築かれてきた。労使交渉の結果は日本全体の中小零細企業にも影響する。各労組とも社会的責任を感じながら、交渉に取り組んでいる」
--東芝、シャープが昨年に続き離脱した
「残念だが、従業員の生活レベルの維持、向上には会社の成長が不可欠だ。会社を立て直すことを優先してほしい。東芝は日本を代表する企業だ。経営責任の問題もあるが、どう再生するかを労使ともに考えるべきだ。顧客からの信頼を取り戻すことが必要だろう」
--長時間労働の是正や女性の活躍も大きな課題だ
「勤務と次の勤務の間に一定時間を設ける勤務間インターバル制度の導入が進んでいる。業界の女性比率は15%にとどまっている。生活に密着した製品を提供する電機業界は女性の細やかな感性が発揮できる世界だ。第4次産業革命が進めば、業界にビジネスチャンスをもたらすだけでなく、在宅勤務など新しい働き方も生まれる可能性がある」