石油元売り大手の出光興産と昭和シェル石油との合併をめぐり、3割強の出光株を持つ創業家が新たな代理人として鶴間洋平弁護士を迎え入れた。鶴間氏は1日、東京都内で記者会見し、「代理人が交代しても(合併)反対の立場は変わらない」と強調した。経営側との話し合いには応じるものの、“お家騒動”の長期化が確実となり、両社の合併は見通せないままだ。
鶴間氏は前任の浜田卓二郎弁護士の辞任に伴い、2月8日に創業家の代理人に就任。出光昭介名誉会長らから依頼を受けたという。「経営側から依頼があれば代理人同士の協議には応じる」としたが、出光名誉会長が出光の月岡隆社長と直接会談することはないとの認識を示した。その上で、「条件闘争ではない。どんな条件が出されても合併に賛成することはない」と語った。
合併に反対する理由については、昭和シェルとの社風の違い▽合併新会社がサウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコから出資を受ける▽合併で生産者間の競争が弱まると消費者本位の理念に反する-などを挙げた。
6月に予定される出光の株主総会に取締役の解任決議案を提出する考えはないものの、「それまでに合併の断念を判断してくれるはずだ」と牽制した。