出産後の母親と新生児を手厚くケアするサービスを展開する「産後ヘルパー」。赤ちゃんの世話や家事をヘルパーに任せている間、母親は授乳以外何もしないで休むことができる。出産直後にホルモンバランスの変化で心身ともに不安定になりがちな母親の負担を減らして回復を図ることで、産後鬱による夫婦関係の悪化や育児放棄などを防ぐ。社長の明素延さんは「母親が楽になる環境を整えることで、子供を産みやすい社会にしたい」と話す。
1日コースを利用する場合、ヘルパーが午前9時に家庭を訪問して朝食を用意し、部屋を整理して換気する。その後、哺乳瓶や授乳用品を消毒して授乳を手伝い、乳房ケアを施す。昼食を準備し、午後になると掃除や買い物をした後、産後体操を指導して、腹や足などをマッサージしたり、子育ての相談にも応じる。夕食を準備した後、午後5時に退勤する。利用料金は1時間3240円。東京を中心に、神奈川、千葉、埼玉が営業エリアとなっている。
◆自身の鬱経験から
出産後の母親にとって至れり尽くせりの産後ケアプログラムは、もともと韓国のサービスが発祥だ。
明さんが36歳のとき、日本の大学院在学中の2009年に韓国で長男を出産。「産後調理院」と呼ばれるケア施設を利用していた。博士論文作成のため2カ月で日本に戻ったが、韓国のような産後ケアサービスはなかった。育児と家事に加えて論文執筆が負担となり、産後鬱になった。「子供がかわいくないと感じ、泣いても放っておいた。出産して不幸になったと感じた」
自分自身が苦労した経験から、子育て環境の整備が遅れている日本で、韓国のような産後ケアサービスの必要性を感じて起業を決意する。