山口フィナンシャルグループ(FG)は、指の静脈データを照合する生体認証で預金を出し入れできるサービスを傘下の3行に導入する。キャッシュカードや通帳は不要。手ぶらで取引できるため利便性が高まり、災害時の活用も見込まれる。
4月中旬に山口銀行(山口県下関市)の一部店舗で始めるのを皮切りに、もみじ銀行(広島市)、北九州銀行(北九州市)にも導入し、3行の計280余りの店舗や約1000台の現金自動預払機(ATM)で利用できるようにする予定という。
山口FGは6日、指認証の新サービスを報道関係者に公開した。窓口やATMに専用の読み取り機を設置し、利用者があらかじめデータを登録した指をかざすと、サーバーに保存された情報と照らし合わせる。対応するサービスは当面、預金の入出金に限定するが、順次拡大する方針だ。
実演した山口FGの担当者は2014年に広島で起きた土砂災害や、昨年の熊本地震が導入のきっかけの一つとし、「通帳や印鑑が手元にない利用者が預金を引き出すのに苦労したという声があり、強いニーズを感じた」と話した。