経営再建中の東芝が銀行団に数千億円規模の追加融資を要請する検討に入っていることが9日、分かった。主力取引銀行も、要請が来れば前向きに対応する方針で、今週に入り他の金融機関にも東芝に追加融資が必要になる可能性について説明を始めた。
東芝は、米原子力発電事業の巨額損失で債務超過に陥った財務基盤を、分社する半導体事業の売却で改善する方針だ。ただ、売却完了は平成29年度後半になる見通し。当面は手元資金が不足する状況が続くため、銀行からの融資拡大で乗り切りたい考えだ。
債務超過の企業は通常、銀行から新たにお金を借りにくくなるが、東芝は企業価値が1兆5千億~2兆円と試算される半導体新会社の全株売却を視野に入れており、主力行は融資を拡大しても返済の見込みがあるとみている。だが、一部の銀行からは追加融資への異論も出ている。
東芝は、米原発子会社が受注した米原発の建設費用が今後も膨らむ可能性がある。米子会社の破産処理も検討しているが、その際も債務保証に応じた支払いが求められるため、負担増に備えた資金が必要になる。