三陽商会が過去最大の赤字 「バーバリーロス」以上に痛い問題とは (1/3ページ)

三陽商会が2015年7月に立ち上げた「マッキントッシュロンドン」の1号店=横浜市港南区の京急百貨店
三陽商会が2015年7月に立ち上げた「マッキントッシュロンドン」の1号店=横浜市港南区の京急百貨店【拡大】

 「エポカ」「ポール・スチュアート」などのブランドを展開するアパレル大手の三陽商会が業績不振にあえいでいる。先日発表した2016年12月期の連結決算は、最終損益が過去最大となる113億円の赤字(前年は25億円の黒字)に沈んだ。主力ブランドの「バーバリー」をライセンス契約の終了で失い、後継ブランドの育成も思うように進んでいないためだ。しかし、同社の悩みはそれだけではない。むしろ中長期的にみれば、もっと深刻な問題を抱えている。

 「消費者ニーズを取り込みながら、新たなビジネスを進めていく」

 三陽商会が2月14日に東京都内で行った決算発表説明会。岩田功(いさお)社長は今後の抱負をそう述べたが、表情は険しく、どこか悔しさを隠せない様子だった。岩田氏は、杉浦昌彦前社長が業績不振の責任を取って辞任したのを受け、1月1日付で就任したばかりだ。

 この日発表した決算は、惨憺(さんたん)たる内容だった。過去最大の最終赤字に終わっただけでなく、売上高も676億円と、前年比で実に30.6%も減少した。

 業績不振の最大の原因が「バーバリーロス」にあることはいうまでもない。同社は15年6月、45年間に及ぶ英バーバリーとの契約を終了した。バーバリーが売上高のほぼ半分を稼いでいたことを考えれば、ある程度の業績不振は致し方ないといえる。

 もっとも、誤算もある。

20億円の赤字見通しが、なぜ大幅に下回った?