【高論卓説】東日本大震災6年 復興に向け関与し続ける意識が重要 (2/3ページ)

2017.3.13 05:00

 通例、人事企画官は立場を活用して、自身の次の異動ではいわゆる「良いポスト」に就くことが多い。しかし、Iさんは、志願して、福島の被災者に直接向き合う部局の参事官となった。罪滅ぼしの気持ちからであろう。「経産省出身」と言うだけで罪人扱いされる環境下、何時間も被災者の前で正座をしたり、芋煮会などの集まりにも政治家のように顔を出し続けたりして、ようやく、ある程度の信頼を得ることとなった。そのポストを離れた今も、福島でのイベントには極力駆けつけていると聞く。関与し続ける覚悟を見た気がした。

 震災から6年がたち、この3月には、「帰還困難区域」以外の区域の避難指示が全面的に解除されると聞く。さまざまな動きがあって、正直、私の中でも、世間的にも震災が過去のものとなりつつある。危機感からの「震災を風化させるな」との戒めの言もあちこちで目にする。

 ただ、重要なのは、「風化させる」とか「させない」ではなく、被災地をいかに「活性化」するかだ。「活性化」の結果、震災が風化するのなら、むしろそれは、亡くなられた方々も含めて望むところではないか。

 その観点から深刻なのは、「地方創生」ブーム全体の風化である。昨年から「働き方改革」がブームで、担当大臣も登場しているが、その前年(15年)は「1億総活躍」が脚光を浴びて担当大臣が誕生した。そして、そのさらに前年(14年)に盛り上がったのが「地方創生」であり、担当大臣には総理のライバルと目される石破茂氏が着任して存在感をある程度発揮した。だが、今は国民の多くが、恐らく大臣の名前すら知らない。政府は「地方創生」から既に離れてしまっているように見える。

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