保険ショップ、異業種襲来で転機 少子高齢化・マイナス金利など経営環境厳しく (1/3ページ)

来店者(右)に専用カウンターで取り扱っている保険商品について説明する担当者(左)=東京都内
来店者(右)に専用カウンターで取り扱っている保険商品について説明する担当者(左)=東京都内【拡大】

  • 保険販売における主な異業種参入の例

 複数の保険会社の商品を比較・検討しながら販売できる利点を強調してきた乗り合い代理店(保険ショップ)に転機が訪れている。2016年5月に改正保険業法が施行され規制が強化されたほか、大手生命保険会社と提携して新たに保険販売に乗り出した異業種の脅威にもさらされているためだ。少子高齢化に伴う若年人口の減少や日銀によるマイナス金利政策の影響など厳しい経営環境が続く中、顧客獲得競争は一層激化しそうだ。

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 「複数の保険ショップを見て回るお客さんが増えている」。乗り合い代理店の業界第3位「保険クリニック」で約9年間、窓口で相談を担当してきたファイナンシャルプランナーの山本淳子さんは顧客の変化をこう明かす。

 乗り合い代理店は2000年代半ばから徐々に増え始め、当初は公平や中立さを強調することが顧客に受け入れられ、急速に店舗数を増やしてきた。ただ、「販売手数料が多い特定の商品ばかりを売っているのではないか」といった懸念が指摘されるようになり、金融庁が規制を強化してきた経緯がある。

 パンフレットや看板で公平や中立性をアピールすることができなくなったほか、16年5月施行の改正保険業法で、顧客への情報提供や意向確認について義務化された。店舗数の増加傾向は続いているが「新規出店の一方で、開店して1、2年で閉店する店舗も増えてきた」(乗り合い代理店関係者)という。

 そうした厳しい環境に加え、大手生保と流通業界などの提携による異業種参入が近年相次いでいる。