【高論卓説】バブルの熱狂にも似た排外主義 火消しは冷静な個人の意思表示 (2/3ページ)

2017.3.21 05:00

 新聞は売らんがために大衆に迎合することもあった。ポーツマス会議の結果に不満な民衆は日比谷焼打事件を引き起こしたが、これは新聞がこぞって大衆をあおり好戦的な世論を形成したからだ。これは日本だけではなく第一次世界大戦が始まったとき、各国の新聞と大衆はともに熱狂し歓喜したのである。もっともすぐに後悔したけれど。

 新聞やテレビに代わり、インターネットが世界を覆う現代、欧米の主要メディアは英国のEU離脱や大統領選挙の予想を外した。トランプ大統領は就任後もメディアによる情報のフィルターを迂回(うかい)して、ツイッターを使用して直接支持層に情報を流し続けている。

 これには嘘やデマも混じり、ポスト真実(真実に変わるもの)なる言葉も登場した。インターネットの発達によって大衆は自らが好む情報だけを選別して取得するようになった。こうした状況下では同じ事件の説明でも、取得している情報が隣人と全く異なる場合が出てくる。言い換えれば国家の中に、異なるものを見て物の考え方が極端に違う構成員の「集団」が登場してくる。ネーションは分断されやすい状況にあるといえるだろう。

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