火力発電事業を完全統合で基本合意 東電と中部電…平成31年度上期めど

 東京電力ホールディングス(HD)と中部電力は28日、既存火力発電事業を完全統合することで基本合意したと発表した。平成31年度上期をめどに両社が共同出資する火力会社「JERA(ジェラ)」に事業を移管する。液化天然ガス(LNG)の調達から発電までを一貫して手掛ける世界最大級の火力会社が誕生することになり、企業価値や競争力の向上を目指す。

 JERAは平成27年4月設立。LNGの調達や海外の発電事業を段階的に移し、27年度のLNG取り扱い規模は世界最大規模の約3500万トンに達した。

 東電は国内で15カ所、中部電は9カ所の火力発電所を運営している。両社の最大出力を合算すると約6800キロワットに上り、国内の半分を超える出力規模を持つことになる。両社の発電所運営や保守のノウハウを共有し、一体運営することでコスト削減や事業の効率化が期待できる。

 経済産業省の有識者会議は昨年末、東電の経営改革提言をまとめ、火力発電事業の完全統合について「必要不可欠」と明記していた。中部電は22兆円に膨らんだ福島第1原発事故の対応費用の一部を負担させられたり、国の関与が強まったりする可能性に懸念を示していたが、東電は新たな経営再建計画の骨子に国の関与の在り方や費用負担について一定のルールを設けると明記し、中部電の理解を求めた。