ABセンターでは、“開発者目線”だけでなく、“生活者目線”を大切にしている。「ある程度のスペック(性能)を満たしていればよいのではなく、自分で使ってみてよいものでなければ売れない」(守谷さん)と考えているからだ。
設計を担当していた市川さんは、完成品が消費者にどう評価されているまで考える機会があまりなかったという。そこで、ハウスメーカーのモデルルームを訪れ、DNP採光フィルムを採用した家の評価をセールスマンから聞くなどして、仕事に生かしている。
「環境とエネルギー」を重点事業領域の一つと位置づけている同社にとって、ABセンターの存在感は高まりつつある。
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■省エネ窓材、建築などで需要増見込む
≪MARKET≫
省エネを目的とした建築用ウインドウフィルムの市場は、持続的に成長している。
矢野経済研究所が2015年3月に発表した「環境・省エネ関連窓材市場に関する調査結果」によると、省エネを目的としたウインドウフィルムとLow-E複層(高遮熱)ガラスを合算した14年の国内出荷と輸出分の合計(出荷数量ベース)は前年比5.2%増の1425万平方メートルだった。
このうち、建築用の省エネウインドウフィルムは、前年比1.6%増の310万平方メートル。11年の電力不足により、冷房効率向上のため建物窓への施工ニーズが増えたものの、12年に縮小し、それ以降は微増傾向だ。
こうした中、フィルムメーカーは、夏場の暑さ対策だけでなく、冬場の暖房効率向上を含めた省エネ効果を発揮する製品を開発してきた。同研究所は「環境・省エネ関連窓材は、発売から十数年~20年程度を経ており、成熟期に入ったといえる」と指摘している。