【高論卓説】米WH破産法申請の狙い 複雑買収で損失隠し? 東芝に責任は (1/3ページ)

東芝本社が入る浜松町ビルディング=東京都港区芝浦(斎藤浩一撮影)
東芝本社が入る浜松町ビルディング=東京都港区芝浦(斎藤浩一撮影)【拡大】

  • 東芝の海外連結子会社、ウェスチングハウス・エレクトリック社が破産法適用を申請。会見冒頭、紹介を受け頭を下げて挨拶する東芝の綱川智社長=3月29日、東京都港区(川口良介撮影)

 東芝は3月29日、米原発子会社ウェスチングハウス・エレクトリック(WH)が米連邦破産法11条を申請したことを明らかにした。同11条は多額の負債を抱えて経営危機に陥った企業が裁判所の監督下で債務を整理し、現経営陣で事業を続けながら再建を目指す仕組みで、日本の民事再生法に相当するといわれている。

 破産法の申請が認められれば、東芝は親会社として保証している債務など計6200億円の追加損失を計上し、最終損失は3900億円の赤字から1兆100億円の赤字へと大幅に拡大する。6200億円の債務超過になる可能性がある一方で、原発事業のリスクを遮断するという。

 WHが巨額損失を計上し破産法を申請することになったのは、2015年末にオランダのエンジニアリング大手シカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン(CB&I)から買収した米原発建設会社CB&Iストーン・アンド・ウェブスター(S&W)の偶発債務がその背景にはあると東芝側は説明している。

 「S&Wがジョージア州にあるサザン電力のボーグル発電所とサウスカロライナ州にあるスキャナ電力のV.Cサマー発電所の原発建設工事を手掛けていたのだが、買収完了後この工事を新規に請け負った米エンジニアリング会社、『フルアー』が1年近くかけて見積もり直すと61億ドル(約6700億円)もの追加の損失が発生することが分かり、WHは破産法申請に踏み切った」(東芝広報担当者)

WHとこの会社の関係はそんな単純なものではない