東京ガス、LNG調達で九電と連携 東電・中部電を猛追

 東京ガスと九州電力は12日、液化天然ガス(LNG)の調達分野で戦略的連携を結んだと発表した。LNG調達では東京電力ホールディングスと中部電力の共同出資会社「JERA(ジェラ)」が他社を圧倒するが、東ガスも大手電力との連携を進めることでライバルを猛追する考えだ。

 東ガスと九電は、LNG需要の繁忙期や閑散期などに応じて互いのLNGを融通したり、LNG船を共同使用したりする仕組みを検討していく。LNGを効率的に調達することで燃料費を抑え、電気やガスの料金引き下げにつなげる狙いがある。

 東ガスは昨年4月に関西電力とも同様の協力関係を結んでおり、すでに一部共同調達を始めている。九電とも平成29年度下期に共同調達を始める予定だが、「(関電、九電)それぞれと連携している」(担当者)として現時点での3社共同調達は否定した。

 だが、世界最大級を誇るJERAのLNG調達量は年約3500万トンと2位の東ガス(約1400万トン)を大きく突き放す。仮に、東ガス、関電、九電の3社共同調達が実現しても計約2670万トンにとどまる。東ガスはJERAの「1強体制」を阻止するため、他社との連携をさらに拡大することも検討する。

 エネルギー業界では電力と都市ガスの小売り全面自由化が始まり、今後も業界の垣根を越えた連携が加速する可能性もある。(古川有希)