石油元売り大手、出光興産の創業家の代理人を務める鶴間洋平弁護士が19日、産経新聞の取材に応じ、創業家が昭和シェル石油との合併撤回を求めていることについて「経営陣が(創業家との)意思疎通を欠いたことが問題の原因だ」と述べた。また、経営陣が合併撤回に応じることが前提だとした上で、創業家が取締役会に入る可能性があることを指摘した。
鶴間氏は「経営陣が、拒否権を有する大株主(創業家)の意向を確認しないままに合併を進めようとした結果、現状に至っている」と述べ、経営側の創業家への対応に非があるとした。
創業家側が今年3月に月岡隆社長宛てに送付した申し入れ書では、昭和シェルとの社風の違いやサウジアラビアの国営石油会社「サウジアラムコ」から出資を受けることになるなど、これまでは経営陣の経営路線への反発を挙げていた。
鶴間氏は、現時点で創業家が出光の取締役会に入る可能性について「合併の条件交渉のために取締役会に入ることは考えられない」と強く否定した。一方、合併が撤回になれば、「創業家と経営陣の意思疎通の仕組みを検討する必要がある。その観点から一つの考え方として有り得る」と述べた。
鶴間氏は、平成12年に弁護士登録し、福島県発注のダム工事をめぐる汚職事件で有罪が確定した佐藤栄佐久元知事の弁護などを担当。今年2月、辞任した浜田卓二郎弁護士の後任に就いた。