“レジェンド”は威風堂々としていた。今年1月に70歳“古希”を迎えた男子ゴルフの尾崎将司プロである。先週の男子国内開幕戦『東建ホームメイトカップ』(三重県桑名市の東建多度CC名古屋)に出場、大勢のギャラリーを引き連れていた。
予選2日間は3バーディー、12ボギー、2ダブルボギー、1トリプルボギー。通算16オーバーで予選落ちしたが、その存在感は他の追随を許さなかった。開幕翌日、スポーツ紙のゴルフ面は尾崎の記事で埋まった。そこには、いまだに衰えぬ貪欲さが見え隠れしていた。
「よう(予選の2日間)完走したよ。まずは目標は完走だから…」と。昨年は12試合で9度の棄権。予選通過は13年の『つるやオープン』以来、遠ざかっている。「今年ダメだったらクラブを置く」と進退をかけた初戦の“完走”で、確かな復活の手応えを感じていた。
「(課題は)見えてきた。実戦の中でいろいろな感覚をつかんでいかなきゃいけない。反省材料はいっぱいあった。また出直してくるよ」。ゴルフに対する真摯(しんし)な姿勢と意欲…。勝負を放棄しない尾崎がいた。
1971年、プロ2年目の24歳、無名の男は彗星のように現れ、『日本プロ選手権』で優勝した。当時、就航したばかりの最新鋭大型旅客機のビッグさに例えられ、“ジャンボ”と呼ばれた。過去12度の賞金王に輝くなど、通算113勝(日本ツアー94勝)を積み重ねた。