■国際人育む財団法人設立
人材紹介業、ジェイエイシー(JAC)リクルートメントの創設者である田崎忠良・取締役最高顧問(73)は「一般財団法人 Tazaki財団」を設立し、東京都の国公立高校の学生を対象に英国留学の全面支援に乗り出した。田崎氏が10代後半に単身で英国に渡り、現地で教育を受けた経験を踏まえた取り組みで、真のグローバルリーダーの育成を目指す。
財団では、年間3~5人の高校1年生を対象に、国内での英語学習と5年間の英国留学を全面支援する。英国側のアドバイスによると、語学の上達には13歳のときに英語を話す環境に身を置いておくことがベストだが、「まだ日本人としてのアイデンティティーができていない世代」(田崎氏)という点を考慮し、16歳に設定した。
留学期間は英国のパブリックスクール(私立の全寮制高等教育)の2年間と大学の3年間。総支援額は約4000万円で、返済不要の奨学金としては国内最高額となる。現在、第1期生の選考活動を進めている。
田崎氏は東京都立西高校を卒業後に渡英し、パブリックスクールに入学。その後、ケンブリッジ大学に進んだ。同大学の入学が決まったときには、「日本人として10代後半まで日本で育ってきた。その文化的背景を持ったあなたが、英国で学ぶということが私たちにとって何より貴重。あなたのバックグラウンドに価値を見いだしている」と、総長から言われた。
それが支えとなって英国で学問と仕事に励み、1975年に現地でJACリクルートメントを創設。現在は日本をはじめとしてシンガポールやマレーシア、インドネシアなど東南アジアを中心に、世界10カ国で事業を展開するグローバル企業へと発展させた。この経験を踏まえ、国際的に活躍したいと願う日本人の若者に、世界最高レベルの教育機会を提供するため財団を設立した。