三菱重工業は25日、東京電力福島第1原発の廃炉作業で、溶けた核燃料(燃料デブリ)を取り出すためのロボットアームの試作機を、神戸造船所(神戸市)で報道陣らに公開した。原子力事業で得た知見を生かし開発を進め、国側に採用を働き掛ける。
国は2021年に予定するデブリ取り出し作業の着手に向け、今年中に工程の枠組みを決める方針。同様の試作機を開発する東芝や日立製作所を含めた3社を中心に、担当企業の選定を進めている。
三菱重工のロボットアームはアルミ製で全長7.1メートル、重さは約3.5トン。作業では、まず原子炉内に放射性物質が漏れない気密空間をつくり、その中にロボットアームやレールを設置する。格納容器の壁に開いた穴を通して遠隔操作でロボットアームを中心部まで近づけ、伸ばしたアームの先端でデブリを少しずつ削り、缶に収納し運び出す手順を想定している。
ロボットを小型化するため油圧駆動を採用し、動作の精度誤差を約5ミリ以内に収めた。試作機の開発担当者は「内部環境が詳しく分からないので、いろんなことを想定しながら進めている」と話した。