米国社債への投資拡大 生保大手5社運用計画

 生命保険大手5社の平成29年度上期の運用計画が26日、出そろった。国内では低金利が続く中、各社は米国社債への投資やインフラ事業向け融資を強化する。ただ、トランプ米大統領の就任以降、米国金利は一進一退を繰り返しているほか、欧州でも選挙が続くなど市場の見通しは悪い。各社とも機動的な運用を迫られている。

 住友生命保険は国債以外の社債やリースなどリスク資産に対し、今後3年間で2兆円を投じる計画を打ち出した。松本巌運用企画部長は「米子会社との相乗効果を発揮し外貨建て事業債への投資を拡大する」と話す。今年度から、米銀が企業への貸出金を確保するためのファンドや航空機関連融資にも対象を広げる。

 日本生命保険は32年度までに、1・5兆円を成長分野に投融資する。今年度から、海外インフラに対する投融資を本格化する。国内で培ったノウハウを生かし、収益拡大を狙う。同様に第一生命保険とかんぽ生命保険は、共同でインフラ事業への投融資を進める。

 一方、明治安田生命保険は今年度、米ドル建てを中心とした海外社債に1500億円を投じる方針だ。ドル建ての公募社債の自家運用に乗り出す。

 各社が海外への投融資を多様化するのは米連邦準備制度理事会(FRB)が今後も利上げを進める中で「為替変動による損失を回避するためのコストが上がる可能性がある」(日本生命の秋山直紀財務企画部長)ためだ。ただ、日本生命は「トランプ米政権の政策実現への不透明感や地政学リスクで市場の変動性は高い状況が続く」と指摘。第一生命も「米政権内でも発言が異なる点があり、判断しにくい部分がある」と述べており、各社は機動的な調整を図る構えだ。