ネット通販の信頼性揺るがす問題 アマゾンの利用者離れ引き起こす恐れ

ネット通販大手アマゾン・コムは家具販売などの実店舗開設を検討していると報じられた(ロイター)
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 平成12年のサービス開始以来、売上高を伸ばし続けてきたアマゾンジャパン。他社にない特徴の迅速な配送が宅配事業者の人手不足を招き問題となる中、ネット通販の信頼性を揺るがす新たな課題を突きつけられた。ヤフーやメルカリといったほかのEC事業者が悪質出店者への対応を打ち出す中、アマゾンは詐欺商売への抜本的な対策を早期に講じないと利用者離れを引き起こす恐れもある。

 セキュリティーソフト販売のカスペルスキーによると、アマゾンのアカウントを狙ったフィッシングサイトは約650件確認されており、日米で被害が出ているという。

 出店者の男性(37)は、アマゾンで悪質なアカウント乗っ取りが横行しているのは「身元確認などが甘く、出店のハードルが低すぎるのでは」と話す。国民生活センターにも、こうした被害を含むネット通販関連の相談が今年は26日までに1926件(前年同期比2%増)寄せられた。

 楽天は昨年から悪質な出店者に違約金を科しているほか、メルカリやヤフーは、今月にマネーロンダリング(資金洗浄)の疑いがある現金のやり取りが横行したことを受けて規制を強化した。

 一方のアマゾンは、乗っ取られたアカウントによる詐欺商売が相次いでも、今のところは出店者に注意喚起する程度にとどまっている。もっとも、アカウントの善悪を峻別(しゅんべつ)するのは困難だという指摘もある。(産経新聞 大坪玲央)