【論風】トランプ政権の原子力政策に学ぶ 原子力規制委に政治的均衡を (1/3ページ)

 □社会保障経済研究所代表・石川和男

 米トランプ政権でのエネルギー政策を調査し、今後の日本の政策に関する的確な方向性を見いだそうと、3月中旬に米国の原子力規制委員会や政策シンクタンクを訪問し、ヒアリングを行った。以下はその概要だ。

 最終処分場建設計画の行方

 トランプ政権は原子力発電所から出る使用済み核燃料(高レベル放射性廃棄物)の最終処分場建設に関し、オバマ前政権が中止した西部ネバダ州ユッカ山処分場建設計画の再開に向け、来年度予算案に所要額を計上した。米国では、使用済み燃料の行き場がないことも大きな課題。トランプ政権の方針は課題解決への前進材料になるが、建設計画が再開されても、実際の建設までには相当の時間を要するだろう。

 米国は広大なのでユッカ山以外の場所を探すことは難しくない。米建設会社ウェースト・コントロール・スペシャリスト(WCS)が所有するテキサス州の処分場が、使用済み燃料の「保管施設」に関する原子力規制委員会(NRC)の許可を申請している。

米国で起きた原発事故で何が変わったのか