【論風】トランプ政権の原子力政策に学ぶ 原子力規制委に政治的均衡を (3/3ページ)

 原発推進の意義

 化石燃料が豊富な米国でなぜ原発が推進されているのか。原発の魅力は低廉安定供給が可能なベースロード電源であること。初期投資こそ必要だが、中長期的な運転資金はそれほどかからない。完全に市場原理に委ねると、天然ガスなどとの競争が厳しくなり、電源構成上も好ましくない。天然ガス価格は、今は安いが昔は違った。長期的には価格は高下するだろう。天然ガス一辺倒にならないためにも、原子力は一定比率を維持していくべきだ。

 ところで、原発政策を左右するNRCの人事はどう決まるのか。NRCの委員は5人で、人事権を持っているのは大統領と上院。NRCの任務に見合った専門性を持った者を選ぶことになっている。政治的には、委員5人のうち同じ政党出身者は3人までとされている。実際には、共和党系2人、民主党系2人、独立系1人というように、超党派的な構成で『人事ベストミックス』となるようにしている。

 以上を踏まえ、(1)原子力規制委員会の人事構成は政治的に均衡させる(2)事故炉以外の原子炉は早期に正常稼働させる(3)使用済み燃料の最終処分は中間貯蔵期間も含め超長期的視野で考える-といった点は日本も学ぶべきだ。

【プロフィル】石川和男

 いしかわ・かずお 東大工卒、1989年通産省(現経済産業省)入省。各般の経済政策、エネルギー政策、産業政策、消費者政策に携わり、2007年退官。11年9月から現職。他に日本介護ベンチャー協会顧問など。50歳。福岡県出身。