■「ご当地ラーメン」がなかったのが幸い!?
ソウルフードとなったもう1つの理由は、冒頭に掲げた内容と関連する。「ご当地ラーメンがなかったから、スガキヤの味が浸透した」のだと筆者は思う。たとえばきしめんなら、創業が明治23年の「きしめん よしだ」など歴史の長い店があり、味噌煮込みうどんは大正末期に創業の「山本屋総本家」が最も有名だ。
きしめんや味噌煮込みに比べて“ラーメン未開拓”の土地柄に、昭和20年代からラーメンを低価格で提供するようになったスガキヤが、前述した理由で地元民の大きな支持を受けるようになったのではないだろうか。
そんなスガキヤのラーメンは「和風とんこつ味」だ。
「味噌煮込みうどんに象徴されるように、もともと濃い目の味つけを好む土地柄です。創業者は味の差別化を試行錯誤する中で、魚介ベースのとんこつ味を考案しました。スープを飲んでみるとあっさりしていますが、それも濃い味に慣れた当時のお客さんには新鮮だったのではないでしょうか」(運営会社、スガキコシステムズ株式会社・取締役の菅木寿一氏)