その後、約39メートル/秒超の強風でアデレード北部の送電鉄塔が倒壊し、高圧送電線の能力が失われた。瞬時に風力の発電量が26万キロワット減少し、同州と隣のビクトリア州を結ぶ唯一の州間の送電線に、失われた分の過剰な負荷がかかった。州間送電線は損傷を防ぐため送電を停止し、電圧が低下した。
風力発電設備にはタービンの損傷を防ぐため、電圧の低下が発生した場合に運転を停止する機能が付いている。南オーストラリア州の風力発電設備は瞬時に発電を停止し、州全域が停電することになった。この停電による同州の経済的損失額は3億6700万豪ドル(約310億円)に達すると経済団体は発表している。
同州ではその後も停電が発生しており、今年2月中旬には気温が40度を超えて電力需要が急増し、停電が発生した。この停電の原因も、風力からの発電量が落ち込んだときの対処が難しかったためといわれている。
停電の発生原因について、豪連邦政府は、不安定な風力発電の設備容量が過大なためとしているが、同州政府は電力システムが適切でないためであり、再エネが原因ではないと主張している。事実関係をみる限り、総発電量に占める風力の比率が高いとバックアップ電源の対応が困難な状況にあるように思える。