経営再建中の東芝をめぐり、主力銀行が融資の前提となる債務者区分を引き下げ、貸し倒れ引当金を積み増したことが15日、分かった。半導体事業の売却がスムーズにいかない恐れもあり、上場廃止のリスクが懸念されるためだ。今後は主力行が役員の派遣も含めて、東芝の経営に関与を強めていく可能性がある。
「東芝についても相応の引き当てを積んでいる」
15日の決算会見で、三井住友フィナンシャルグループ(FG)の国部毅社長は、こう述べた。
三井住友FG傘下の三井住友銀行は従来、東芝の債務者区分について「本業は好調で、半導体事業の売却も含めれば実質黒字」(同行幹部)と判断し、「正常先」に区分してきた。
だが、米原発事業の損失額がさらに膨らむ事態などに備え、3月に1段階引き下げ「要注意先」にした。三井住友信託銀行や三菱東京UFJ銀行も追随した。
15日には半導体事業の売却をめぐり合弁相手の米ウエスタンデジタル(WD)が、売却差し止めの仲裁を申し立てるなど、先行きは不透明さを増している。