「17年は最も重要な年。まさに正念場」とJトラストの浅野樹美(しげよし)常務は言い切る。浅野氏はBJI買収時からインドネシア事業をみており、BJI理事としてリストラを仕切ってきた。
◆知名度向上が鍵
一方で、「攻め」の経営シナリオを描き、再生のための改革も始動させる。浅野氏は「地方主要都市を中心に10店舗を新設し、コアバンキング(基幹システム)の稼働でネット・モバイルバンキングサービスを個人に提供する。広告も打って過去の破綻銀行のイメージを払拭する」と戦略を披露した。
ターゲットはリテール。個人顧客を増やすためだ。日本のメガバンクは現地進出の日系企業との取引が中心で、ローカル企業、リテールビジネスに興味を示さない。拠点もジャカルタのみで地方に見向きもしない。
だからこそBJIは日本の銀行としてメガバンクと正反対の経営姿勢を貫く。その理由を安藤氏は「BJIは日本人が株主のローカル銀行。高品質のイメージが浸透するジャパンブランドを生かしながらローカル銀行として地場マーケットに入っていく」と説明する。日本式のマネジメントとサービスは地場銀行との差別化に生かせる。
本店が入るビル1階に店舗を構えるスディルマン支店が狙うのは近隣で働くビジネスマンだ。アリ・ウィボウォ支店長は「顧客を増やすには信頼が必要。ジャパンブランドを打ち出すことで信頼をアピールできる」と顧客獲得に自信をみせる。
Jトラストは日本で確立し、同社グループの成長の源泉となってきた消費者金融事業を中心としたリテールファイナンスを韓国でも展開し成功に導いた。このビジネスモデルをインドネシアに移植する。その一環としてBJIから8人の精鋭が16年12月、韓国に研修に行った。