【ワシントン=小雲規生】米自動車大手フォード・モーターが全世界に20万人いる従業員のうち、10%の削減を検討していることが分かった。複数の欧米メディアが16日までに報じた。トランプ大統領は自動車大手に積極的な雇用創出を求めているが、各社は米国市場の頭打ちに見舞われており、苦しい判断を迫られているようだ。
報道によると、フォードは計画の概要を週内にも発表する。人員削減は事務職員が対象で、工場勤務の労働者は含まれない。フォードは退職金を積み増すなどして自主的な退職を促しているという。
フォードは1月にトランプ氏の求めに応じてメキシコでの新工場建設を撤回。さらにミシガン州での雇用上積みも表明し、トランプ氏への協力をアピールしていた。しかし、昨年まで好調だった米国の新車販売台数は今年1月から4カ月連続で前年割れが続いており、投資家からはリストラの必要性も指摘されている。
今回の計画で米国内の人員がどれだけ削減されるかは不明だが、フォードの従業員20万人のうち約半分は北米で働いており、米国の雇用に悪影響が出る可能性がある。ロイター通信によると、米ゼネラル・モーターズ(GM)も昨年11月以降、米国内で4千人超の人員削減を発表している。
米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)は16日、「自動車各社はウォール街とホワイトハウスのどちらを喜ばせるべきかという難しい選択に直面している」と分析している。