化粧品業界で、コーセーの業績好調ぶりが際立っている。同社の2017年3月期の連結営業利益は前期比13.1%増の391億円と3期連続で過去最高を更新し、業界の巨人、資生堂の営業利益(16年12月期で367億円)を上回った。売上高では3倍以上の資生堂を超える収益力の“秘密“はどこにあるのか。
「私以上に社歴の長い役員や幹部が(長年目標としてきたので)喜んでいるのではないか」
コーセーが17年3月期決算を受けて5月1日に開いた経営説明会。小林一俊社長は「資生堂超え」の率直な感想を吐露した。
17年3月期は、売上高も9.6%増の2667億円と4期連続で過去最高を更新。営業利益率は15%に迫る高水準だ。今期も売上高2820億円、営業利益415億円と、連続の最高更新を目指している。
コーセーの業績好調を支えているのは、同社がハイプレステージと呼ぶ高級品群だ。「コスメデコルテ」「アルビオン」「ジルスチュアート」といった主力の高級ブランドが軒並み過去最高の販売を記録した。訪日外国人(インバウンド)の需要も引き続き堅調で、関連売上高は145億円を計上した。
ただ、高級品やインバウンド需要の好調は資生堂も変わらない。明暗が分かれているのは果敢にM&A(企業の合併・買収)を仕掛けた米国事業だ。