日本政策投資銀行は22日、2018年3月期から3年間の中期経営計画を発表した。成長が期待できる航空宇宙分野に力を入れ、3000億円の投融資の実施を目指す。宇宙航空研究開発機構(JAXA)と提携し、関連産業の支援に必要となる技術の情報を得たい考えだ。
政投銀は専門部署として航空宇宙室をすでに設置した。各地に多く存在する関連企業の育成を目指す。ロケット打ち上げのためのインフラ整備なども支援したい考えだ。このほか地域投資推進室を置き、地域金融機関と連携しながら、地方の中堅・中小企業への資金拠出を加速する。20年3月期に800億円程度の最終利益を確保する。
政投銀が同時に発表した17年3月期決算の最終利益は前期比32.0%減の876億円だった。日銀のマイナス金利政策などによる低金利で、利ざやが大きく縮小したことが響いた。
記者会見した柳正憲社長は、東芝の半導体子会社である東芝メモリに関して「日本の産業の将来にとって重要。日本の中に残していきたい」と強調した。手続きが進んでいる入札への参加については明言を避けたが、「必要に応じて努力するつもりだ」と述べた。
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【用語解説】宇宙航空研究開発機構(JAXA)
2003年に宇宙開発事業団と宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所の3団体が統合して発足した。政府の宇宙開発利用を担う中核組織。鹿児島県で運営する種子島宇宙センターがロケットの発射場として有名。東京都調布市や茨城県つくば市などにも研究などの拠点を持つ。