国の制度融資で不正が発覚した商工中金に対し、金融庁が24日にも立ち入り検査に入ることが23日、分かった。経済産業省や財務省と協力し、不正の背景や、組織運営の体制に問題がなかったかどうかを重点的に調べる。
麻生太郎金融担当相は23日の閣議後の記者会見で「現在、資料分析を行っている段階だ。準備ができ次第、立ち入り検査を行う」と強調した。
商工中金は、3省庁から今月9日に業務改善命令を受けた。問題となった「危機対応融資」では、書類の改竄(かいざん)が全国的な規模で行われ、不正の隠蔽(いんぺい)行為も確認された。
商工中金の自主的な調査では原因究明が徹底されないとの懸念もある。商工中金のトップは経産省からの天下りで、金融庁が検査を主導することによって責任の追及などを徹底する狙いがある。ノウハウがある金融庁の検査官約10人を中心に、経産、財務両省の担当者でチームを編成し、全容解明を目指す。
危機対応融資は、災害などで業績が悪化した中小企業に資金を貸し付ける制度。不正を調べた第三者委員会によると、商工中金は月末に迫った融資残高の積み増しなどに制度を悪用した。
安達健祐社長は経産省元事務次官で、不正を黙認してきた役職員らの「なれ合い」体質が問題の根底にあるとも指摘される。融資実績を上げるために不正行為に手を染めた商工中金は、政府系金融機関としての信頼が揺らいでおり、検査の結果次第では新たな行政処分の対象となる可能性もある。