東芝は25日、三井住友銀行やみずほ銀行などの主要取引銀行を集めた会合を東京都内で開き、売却に向けた入札手続きを進める半導体子会社「東芝メモリ」について、協業相手で独占交渉権を求める米ウエスタン・デジタル(WD)への売却は困難と説明した。今後は米投資ファンドのコールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)や産業革新機構などから成る日米連合を軸に選定が進みそうだ。売却の方向性は6月中旬までに決める。
関係者によると、東芝は会合で、KKRや韓国SKハイニックスと組む米投資ファンドのベインキャピタル、米ブロードコム、台湾鴻海(ホンハイ)精密工業の4陣営が19日に締め切った2次入札に応札したと説明。東芝の求める2兆円以上を提示した陣営もあったという。
東芝メモリ売却についてWDは、東芝が同社の同意なしに売却を進め、合弁契約に違反していると主張。14日に国際仲裁裁判所へ売却停止を申し立てた。これに対して東芝は、契約には違反しておらず、WDが入札を妨害していると反発。WDへの売却についても、各国で独禁当局の審査をクリアする必要があり、来年3月までに売却を完了できない恐れがあることなどから難色を示している。
24日には東芝の綱川智社長とWDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が会談を行ったが、一致点は見いだせなかったもようで、対立は解けていない。取引銀行との会合ではWDと協議を続けているとの説明があったという。
一方、東芝に対する主要行の融資枠は東芝メモリ株を担保とすることにWDが反対し、活用できない状態が続く。会合では東芝が支援継続を求めた上で今後の対応方針も話し合われた。