松原: ですね。フィギュアを購入する人は、指名買いが多い。ガシャポンの場合も指名買いをする人はいますが、それほど多くはありません。通りすがりに「あ、おもしろそう」と感じて、購入する人が多いですね。というわけで、これまでにはなかった切り口であったり、これまでになかったキャラであったり、新しい要素をできるだけ取り入れるようにしています。そうしなければ、自販機の前でなかなか足を止めてもらえませんので。
土肥: 商品を開発していて、「これはイケる。絶対に売れる」と思う瞬間ってあるのでしょうか?
松原: 頭の中であれこれ考えて、いいアイデアが浮かんだときには「これはイケる。絶対に売れる」と思うんですよ。しかも、しょっちゅうそのように感じる。でも、それを形にしたとき「これは違う。難しい」と感じることも、しょっちゅうあるんですよね(涙)。
頭の中であれこれ考えて、「これはイケる」と思って、試作品をつくってみる。しかし、平凡になっていたり、新しさがなかったり、そう感じたときには無理に商品化することはありません。そこで「何が足りないのか」「どんな要素を取り入れれば、新しく見えるのか」を考えて、設計段階から見直しています。ただ……。
土肥: ただ?
松原: 頭の中で「これはイケる。絶対に売れる」と思って、実際につくってみて「イケる!」と感じたときには、ヒットすることが多いですね。
「新しい」と感じてもらうために
土肥: 世の中には商品があふれていますよね。そうした中で、消費者に「新しい」と感じてもらえることって、かなり難しいのではないでしょうか。
松原: 難しいですね。頭の中で「これは新しい。斬新だ」と思っていても、ちょっと調べてみると、すでにどこかで使われていることが多い。でも、そこであきらめてしまうと、そこで終わってしまう。あるアイデアが浮かべば、それに合うようなアイデアを掛け合わせてみる。これがダメだったらこれで、1つがダメだったら2つで……といった具合に組み合わせることで、これまでになかった形になることがあるんです。
新しいことをどうやれば生み出すことができるのか。お客さんをどうすれば驚かせることができるのか。そのためには、頻繁に「これとこれを組み合わせれば新しいモノが生まれるかもしれない」といったことを考えなければいけません。