製薬各社が東南アジア市場への進出に注力している。田辺三菱製薬は今年度から、タイの子会社で自社製品の販売を開始。大日本住友製薬もアジアに強い企業と提携して抗生物質を販売する。新薬の国内市場は人口減や薬価引き下げの影響で横ばい状態のため、新薬メーカーは急成長を続ける東南アジア諸国連合(ASEAN)の市場を開拓していく方針だ。(安田奈緒美)
田辺三菱は昨年1月にシンガポールへ子会社を設立。今年4月にはタイで、子会社を通じて高血圧症治療薬「ヘルベッサー」「タナトリル」の販売を始めた。多田俊文・海外事業推進部長は「特許は切れているが、薬を飲みやすくする製剤の工夫で後発薬と差別化できる」と話す。
アステラス製薬はマレーシア、インドネシアなど5カ国に販売会社を持ち、さらに昨年4月には東南アジア、南アジアを統括する組織をシンガポールに設立した。
参天製薬も2014年にフィリピン、タイ、マレーシアへ立て続けに子会社を設立、各国の事情に合わせた製品開発を急ぐ。
大日本住友は今年5月末、同社が開発した抗生物質「メロペネム」を東南アジアで販売するため、アジアでヘルスケア事業を行う大手と提携した。